君は天使-短編集-
頭を重くて堅いもので殴られたような衝撃だった。
「初めて時が止まった時は驚いた。私以外がみんな止まっちゃって。」
「……」
「当時の私はどうしたらいいかわからなくて…神様にお願いしたの。両手をこう…」
桐山は両手をパンパンと2回叩いた。
「神社でお参りするときみたいにね。」
「そしたら…時間が動き出した…?」
桐山はニッと歯を見せて笑った。
「その通り。」
そうか、2つで1つ…
俺が止めた時間を桐山が動かす…
そういうことだったのか。
「私、最初は時間を止めたのも自分だと思ってた。」
…俺と逆だ。
「どうやって知ったんだ?その…時間を止めてるのが自分以外にいるって。」
「この学校に来るまで知らなかったし、私が時間を止めてるんだと思ってたよ。…けど…」
「けど?」
「見ちゃったの。あなたが時間を止めてるところ…」
「俺が?」
そういえば、この学校に来てからも何度かこの能力を使った。