君は天使-短編集-
「死にたい」
そう思ったのは私が外を知ったとき。
何も知らないそれまでの私は、生きているなんて実感もなくて。
ただ、白い小さな部屋の中、一人で生活してた。
“幸せ”の意味を知った時、それは今の私を指すのだと思った。
何事もなく、ただ流れる時間と共に流れる。
それが私の当たり前で、私はそれ以外を知らないでいた。
ある日、私は見てしまう。
生まれて初めて外に出て、私と同じ年の子供を見た。
走ってる。
笑いながら、
叫びながら。
私にとって、それはあまりにもつらい光景だった。
楽しそう、私も走りたい。
初めてそう思い、自分が出来ないことに気づいて自分が嫌になった。