狼クン達のオリの中【完】
綾瀬家の家の中。
案内されたパーティ会場で。
「ねぇ・・・。
この人だかりは・・・何?」
綾瀬のおじ様とおば様が用意してくれた、ピンクのかわいいドレスに身をつつみ、人ごみの中をキョロキョロするあたし。
「そんなに驚く人数じゃないと思うけど?
将来・・俺達の結婚式には、もっと呼ぼうね?」
隣の優がにっこり笑う。
「ハハハ・・・」
突っ込みどころが満載すぎて、笑えない。
あたしは引きつった笑いをして、近くのローストビーフを口に詰め込んだ。
「あーあ。
由梨ちゃん。
口の周りをこんなに汚しちゃって」
すかさず優が、あたしの口に手をのばす。
来たな、変態!
あたしはその手を左手で止め、右手でもう1切れ、ローストビーフを詰め込んだ。
「まだ食べ終わらないから、必要ないですっ」
そう言いながら、キョロキョロあたりを見渡す。