狼クン達のオリの中【完】
「きゃっ」



振り返るより早く。


綾瀬涼の香りに包まれ。



「どこに行くつもりだ?」


冷たい声が、上から降ってくる。



「え?
涼?」


「由梨。
おまえ何で、オレの近くにこない?」



綾瀬涼は、声と締め付ける腕で、怒りを表す。



「何で・・・って。
あんなに囲まれてたら、近寄れないよ」



「それでも。
近くにいたいと思うのが、彼女・・・なんじゃない?」



「そ・・・そんなこと言われても・・」



「じゃあ。
こんな気持ちになってるのは、オレだけってこと?」




綾瀬涼はあたしの肩をつかみ、くるっと回転させ。


腰を落とし、あたしの瞳をのぞきこむ。


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