狼クン達のオリの中【完】
「ごめん・・・。
おまえにあたっても、仕方がないのに」



綾瀬涼はそう言って、小さなため息をついた。



「え?」



「可憐と話したくても、会場にはいないし。
可憐の親父の姿も見えないし。
イライラして・・・。
ちょっとおまえに、八つ当たりした。
こんな自分が情けない・・・」



綾瀬涼は、もう一度あたしに謝り。


ギュッと深く、胸の中抱きしめる。



「由梨を、やっと手に入れたのに・・・。
早く・・・みんなに、自慢したいのに・・・」




くやしそうなその声に。



バチーンという、大きな音が重なった。



「え?」



少し開いたそのドアの向こうから聞こえたその音に。




あたしと綾瀬涼は顔を見合わせ、そっと中を覗き込んだ。

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