図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「やめて下さい!」
初めて聞く彼女の声。
「いいじゃん?一緒に遊ぼーぜ?」
彼女は腕を掴む男の腕をあいている手で叩いた。
「やっ!」
「やめてくんない?」
蓮が、日本人形の背中から腕を廻し肩を抱く。
「俺の彼女なんだけど、なんか用?」
睨みをきかせると、その男は「チッ」と舌打ちし、消えていった。
「あ、あの・・・」
間近で見る彼女は本当に綺麗で、一瞬息を呑むほど。
「ありがとうございました。それで、あの」
彼女の頬が赤くなり、肩を気にするように視線を移す。
「あっ、ごめん!」
蓮は飛び跳ねるように、彼女の肩にあった自分の手を引っ込めた。