図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
月曜日。
蓮はもやもやを抱えたまま、駅前で彼女を待つ。
「蓮くん、おはよ」
美優はいつもと変わらない笑顔で蓮の前に現れた。
「・・・・・・おはよ」
なのに蓮の顔は渋い。
「どうしたの?」
そんな蓮の態度を気にしてか、のぞき込む美優に連は「別に」と言ってフイっと顔を背けた。
そして手も差し出さず、蓮は歩き始める。
「体調でも悪い?」
美優が背伸びして手のひらを蓮の額に乗せた。
「ん~、熱は無いみたい」
「・・・・・・っ!」
少し冷たい美優の体温が蓮の心臓は鼓動を早める。
「なんでもないって!」
つい、声を荒げてしまった声に美優はびっくりして瞳を見開いた。
「・・・・・・ごめん。本当になんでもないから」