図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
ここは図書室
『光陰矢のごとし』
とはよく言ったのもので、日は昇り、また沈む。
推薦を貰えたと言っても、確実なわけではなく、仮にも美優は受験生。
蓮と美優のデート場所はもっぱら図書室。
そんな日々も今日で終わるはず。
なのに、時間がたたない。
いや、連絡が来ない。
蓮のイライラは募るばかり。
耳に入る音は、黒板にぶつかるチョークの音。
みんながノートにそれを書き写す中、蓮は落ち着き無く携帯を眺めていた。
ボタンを押してはメールが来ていないことを確かめる。
今は授業中。
見つかれば、携帯は没収。
それでも見ずにはいられない。
試験の日は、まだ落ち着いていられたけど。
苛立ちが顔に出ている自覚はあった。