図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「送るよ」
蓮の言葉に美優が寂しそうに微笑む。
お互いコートを着て、そっと口付ける。
早く大人になりたい
蓮は最近、こんなことばかり思う。
玄関のドアを開けると、冷気が頬を撫でた。
「あ・・・」
「ぅわぁ~」
外はいつも間にか銀世界。
美優は走って外に出た。
「すごい!見て、蓮くん!」
美優が笑う。
白いコートを着た美優。
そのまま景色に解けていきそうで、蓮は抱きしめた。
足元で雪がキュッと音を立てる。
「はしゃぐと転んじゃうよ?」
「そこまでトロくないよ」
少し不貞腐れるように唇を尖らせる美優にクスリと笑って触れるだけのキスをした。
それから二人はゆっくりと歩いた。
足跡が寄り添うように二人分つけられていく。
その上に新しい雪が積もる。
足跡を消すように・・・・。