図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
蓮は欄を送り、一人雪の降る街を歩いた。
立ち止まりポケットから携帯を取り出す。
悴(かじか)む手で操作し、それを耳に当てた。
時刻は12時近い。
耳に流れる音楽。
蓮は空を見上げた。
次から次に振ってくる雪に眩暈すら覚える。
音楽は途切れ、無機質な音声が美優の代わりに蓮に話しかける。
蓮は携帯を耳から離し、ゆっくりと閉じた。
「もう、寝たかな?」
蓮の独り言は白い雪に吸い込まれていった。