図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
美優はなり続ける携帯を眺めていた。
相手はわかっている。
けれど、それをとる気にはなれなくて、カーテンを開けると、携帯は鳴ることをやめ静かになった。
それを確かめて、窓を開ければ部屋に一気に冷気が流れ込む。
雪を巻き込んで――。
美優はそれを手のひらに掴んだ。
すぐに溶けて消えていくのを眺めて握り締める。
誰の上にも平等に雪が降り続ける、
真っ白い穢れのない雪。
きっと、明日には溶けてしまうだろう。
それを切なく感じてしまうのはなぜなんだろう・・・・・・?
美優が小さく息を吐くと真っ白にそまる視界。
それが更に冷たさを感じさせるから美優はドアを閉めた。