図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「・・・・そっかぁ。寒かったのに、ありがとね」
いつもの美優の声に蓮は安堵した。
「なぁ、出てこねぇ?」
蓮の嬉々とした声とは対照的に美優が渋い声を出す。
「う・・ん、でも、今、電車止まってるみたいだよ?」
「マジで?」
蓮はリモコンを持ちテレビをつけると、流れてくるニュースは雪による交通障害ばかり。
「ホントだ」
「ね?」
それから、次に会う約束をして電話を切った。
蓮は嘘をついたことに小さな痛みを覚え、ベッドに体を預けた。
美優を不安にさせたくない。
そのために選んだ選択が間違っていたことを後から知ることになる。