図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
美優は陽のあたるカフェテラスで紅茶を飲んでいた。
その手には小説。
左手で髪を撫で耳にかけるいつもの仕草。
「美優」
その声に美優は顔を上げて微笑んだ。
「みことちゃん、ごめんね」
みことは普段かけないメガネをかけて美優の前に立っていた。
「いいよ、たまには息抜きしたいしね」
みことはコーヒーを片手に美優の隣に座るなり、口にした台詞は・・・。
「で、なんかあったの?」
そんないきなり核心を突く台詞にに美優は苦笑いを浮かべた。
「みことちゃんにはかなわないなぁ」
「篠宮蓮と何かあった?」
みことの口から出てきた名前に美優の顔から笑顔が一瞬で消える。
「あった・・・・というか・・・」
歯切れの悪い言葉にみことはため息をつく。
「だから、やめときなっていったでしょ?どうせ、他の女から電話があったとか、抱き合ってるのを見たとか、そんなところかな?」
美優はびっくりしてみことを見つめると、その姿にみことはまたため息をついた。
「図星かぁ」
「でも、電話しても一人だって、そのまま家に帰ったって・・・」
みことの腕を掴み訴えた。
「嘘かもしれないって思ったから、あたしを呼んだんでしょ?」
その台詞に美優は言葉を失い口をつぐんだ。