図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
第4巻
会いたいと思う気持ち
蓮はいつものように駅で待つ。
「ねぇ、一人なら一緒にお茶でもどう?」
女子大生風な女が二人声をかけてきた。
「彼女と待ち合わせなの、悪いけど」
にっこりと人懐こい笑顔を見せる蓮。
「あはは、残念、またね」
笑いながら彼女たちはひらひらと手を振って蓮の前から立ち去った。
そして蓮は背後に人の気配を感じ、振り向く。
「美優」
その名前を呼んで極上の笑顔を向けた。
「蓮くん・・・・」
薄く笑う美優の顔。
その笑顔は少し憂いを帯びて・・・。
「なんか、あった?」
蓮はそれに気づき美優の顔を覗き込む。
けれど美優は一瞬間をおいて、目を伏せて首を振った。
「なにもないよ」
そういって、蓮に笑いかけた。
蓮は手を差し出す。
美優はいつものようにその手をとり、その腕に頬を寄せた。