図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
くだらないテレビをボーっと眺める大晦日。
蓮は両親のところにいた。
正月くらいはと、両親の願いもあって転勤先のマンションでコタツにもぐる蓮。
「くだらねぇ」
話し相手もなく、テレビもつまらない。
家といっても、住んだこともなく居心地も悪い。
一人でいるほうがマシだったな。
と、思いながらみかんを頬張る。
そろそろ、時計は12時を指すころ。
「俺、ちょっと出てくる」
蓮は携帯をポケットにねじりこんで立ち上がった。
「どこ行くの?」
母親の声に振り向きもせず「コンビニ」と短く返した。
「きをつけなさいよ~」
呑気な声を背に蓮はドアを閉めた。
「さみっ」
蓮はダウンコートのファスナーを上まであげて携帯を耳に当てながら歩いた。
つながる電話に顔がほころぶ。