図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「美優、何してた?」
吐く息は白い。
「テレビ見てた」
美優の電話から時計が12時を知らせる音が聞こえた。
「日付変わった?」
蓮の声に美優は「うん」とだけ答えた。
「明けましておめでとう、美優。今年もよろしくな」
「おめでとう、蓮くん。こちらこそ・・・」
美優はそこで言葉を止めた。
夜空を見上げれば、眩暈を起こしそうなほどの星たちが瞬く。
「美優にも見せてあげたいよ。この星空、頭クラクラしそう」
そんな蓮の声に「そうなの?見てみたいな」と、美優の声が返ってくる。
会いたい。
今すぐにあって、その髪にさわりたい。
ずっと一緒にいたいけど、それはかなわない。
早く、大人になりたい。
蓮は星空に願った。