図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「蓮くん」
その声に蓮の心臓は飛び上がる。
「美優」
蓮は振り向きながら名前を呼ぶ。
美優はいつものように笑っていた。
だから、蓮は安堵する。
見られていないと。
やましくはないけれど、欄との関係を聞かれるのは、気持ちのいいものではなかったから。
勿論、聞かれればただの友達と答える。
それでも、引っかかるものはあるわけで。
蓮は飲みかけのコーヒーをゴミ箱に放り込み、その手を差し出した。
一瞬、躊躇する美優に蓮はドキッとしたが、そのまま置かれた手のぬくもりに救われた。