図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「蓮くん」
美優はそのまま蓮の胸に顔を埋めた。
「美優」
その声に見上げた美優の顔は儚げな笑顔だった。
そんな仕草に気づいてしまう。
「見てたのか」
その台詞に、腕の中の美優は体を強張らせた。
「・・・あいつとはなんでもないっつーか、ただのクラスメイトだから」
なんていい訳じみた台詞なんだと思いながら、蓮は口に乗せた。
美優は、腕の中で小さく「うん」とだけ返事をしてくれる。
「今日はどこ行く?」
蓮は一段明るい声で美優に話しかけた。
その声に美優が微笑む。
「どこでもいいよ」
「図書館なんてどう?」
と蓮が言うものだから美優は笑った。
「蓮くん、暇でしょ?」
「良いんだよ、あそこあったかいし」
そう言って蓮も優しく微笑んだ。