図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
制服の上にダウンジャケットを着ていつものように駅前で美優を待つ。
「篠宮先輩」
聞きなれない声に蓮は顔を向けた。
そこには同じ制服を着たショートヘアの女子生徒が一人。
「なに?」
蓮はにっこり笑って、考える。
見たことあるような、ないような・・・・。
彼女は覚悟を決めたようにまっすぐ蓮に向かった。
「あたし、篠宮先輩が好きです」
「はい?」
あまりに堂々とした宣言に蓮は呆気に取られ、それが告白だと気づくのに時間を要してしまうほど。
「・・・・・・あー、ちょっと」
そういうと、蓮は行きかう人の奇異な視線を集めながら彼女の手を引っ張り、人気のない路地へ歩いた。
いくらなんでも、公衆の面前で女の子を振るのはかわいそうだから。
そんな配慮があだとなる。