図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
そして、蓮は一息ついて彼女に向きあった。
「悪いけど、俺、彼女い」
「いいんです、いても。二番目でも三番目でも」
蓮の言葉をさえぎった彼女の言葉に蓮は顔をしかめた。
「先輩の彼女、3年ですよね?だったら、もういなくなっちゃうんでしょ?」
蓮は痛む胸を自覚した。
いずれ来る現実を突きつけられて。
「それなら、あたしにもチャンスありますよね?」
「ないよ」
即答だった。
「じゃあね」
そう言って蓮は彼女に背を向ける。
「1年2組、椎名あみです。あたし、諦めませんからー!」
背中にかけられる声には答えることなく、蓮は歩いていった。
駅に戻ると、美優が階段で待っていた。
「おはよ」
いつもと変わらない美優の笑顔に蓮の顔はほころぶ。
「おはよ」
そして手を差し出す。
後何回、こうして歩けるのか・・・・。