図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
昼休憩になり、蓮はいつものように昼食を済ませると、図書室に向かった。
ドアを開けて、いつもの席に向かう。
日のあたる、美優の真向かいの席。
そこに座り、机の上に両腕を組んでそのまま頭を乗せた。
暖房が効き、日当たりのよい席は少し暑いくらい。
「篠宮先輩」
不意に聞こえてくる聞き覚えのある声に蓮は顔をしかめた。
「いつも、ここにいるんですね」
対照的に椎名あみの顔は笑顔。
蓮は彼女を一瞥するとそのまま机に伏せた。
すると、隣にの椅子が引かれあみはそこに腰掛けた。
「ほかにも席、たくさんあるんだけど」
顔を上げることなく言う蓮にあみは笑顔で返す。
「ここに座りたいんです。ダメですか?」
「ダメ」
即答する蓮にあみは少し考えて、また笑顔で口を開く。
「彼女が来たら消えますから」
蓮はため息を付くだけで、もう何も言わなかった。