図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
膝を抱えたまま顔を上げようとしない美優。
「・・・・・たの?」
気を付けないと聞き逃してしまうほどの声に、
「なに?」
と、蓮はやさしく聞き返した。
「なんで、嘘ついたの?」
その言葉に蓮の心臓がドクンと大きく揺らす。
嘘を付いたのは事実。
美優を不安にさせたくなくてついた嘘。
それが間違いだったのだと今更になって気付く。
それでも、信じて貰えると願いながら、蓮は言葉を紡いだ。
「…ごめん、でも、本当にあいつとは何でもっ」
「相原さん、保健室行こうか」
蓮の言葉を遮った声は、後ろに立つ男のものだった。
その男は美優の前に立ち、手を差し出した。
蓮はその男を忌々しげに見上げ睨み付ける。
「引っ込んでろよ!」
荒木はそんな蓮に見向きもしないで、美優にもう一度やさしく言う。
「ほら、ここ寒いから」
美優はゆっくり顔を上げる。
そして――