図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
みんな一人
5時限目が終わるチャイムが鳴り響き、蓮は立ち上がった。
「まだ、授業あるんだっけ?」
誰もいない廊下に蓮の声が響く。
勿論、返事はない。
蓮はゆっくりと歩き始めた。
「おぉ、蓮!お前どこいってたんどよ?」
テンションの高い新の声に蓮は苦笑いを浮かべた。
いや、笑っていたのかどうかも判断は難しい。
「蓮?」
蓮は何も言わず、ドカッと窓際の自分の席に座って頬杖を付き窓の外に目をやる。
直後、6時限目の始業のチャイムが鳴り、社会科の先生が教室に入ってきた。
「ほら、チャイムなったぞ、席に着け!」
その声に、生徒はガタガタと席につき始める。
新も蓮の態度に首を傾げながら自分の席に着いた。