図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「相原さんが階段落ちそうになって、俺が助けたの。
そしたら、俺の方が転けちゃって、彼女、責任感じて泣いちゃってさぁ。
で、ここまで付いてきてくれたの。ね?」
荒木は振り返り、美優に笑顔で同意を求めると、
「う、うん」
美優はハンカチを握りしめたまま、コクンと頷く。
「まぁ。いいけどな」
三村はそれだけ言うと、テキパキと治療を始めた。
「相原」
三村の声に美優は体をビクつかせた。
「顔色が悪い。ベッドに寝なさい」
「あ、あの、でも…」
立ちつくす美優に荒木が続けて言う。
「そうそう、それがいいよ」
ほら~っと、背中を押され、美優はゆっくりとベッドに横になった。
見えるのは四方に囲まれた白いカーテンと、白い天上。
白いシーツに、白い光り。
白い世界が美優を覆う。
全部真っ白になればいい。
あの夜のように。