図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】

「…らさん、寝ちゃった?」


その声に、美優は自分が意識を手放したことに気が付いた。


「あら、きくん?」


声の主を確かめようと身体をおこすと、ザーっと開けられたカーテンから、荒木が笑顔を見せた。


「カバン、取ってきたから帰らない?」

「えっ、でも」


美優は時計を見た。


「もうすぐ、授業終わるって。先生にもちゃんと許可貰ったし」


荒木が「ね?」と、三村に言うと「あぁ、もう帰っていいぞ」と、こちらを見るでもなく言葉を返した。

美優は納得し、靴を履こうと視線を下に落とした。

見えるのは包帯で巻かれた荒木の足。

美優は荒木を見上げた。


「大、丈夫?」


その言葉に荒木は満面の笑顔で応えた。


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