図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】


ポケットの中の手を出して窓枠に手をかけた瞬間、携帯が床に落ちた。


「篠宮!きいとるのか!」


先生の怒号なんて耳には届かない。

蓮はただ、そこから見える光景を見つめていた。


「ばっか、蓮!携帯しまえよ!」


斜め後ろに座る新が小さな声で囁くがそれすらも蓮には聞こえない。

先生が近づき、携帯を拾った。


「なんだ?お前は!やる気あるのか!」


その台詞に蓮はゆっくりと先生を見上げた。

睨むような目で。


「な、なんだ!没収だぞ、これはっ」


先生ですらたたじろぐような顔で。


「やるよ、そんなもん」


低い声でそれだけ言うと、カバンを片手に立ち上がった。


「し、篠宮!まだ授業中だぞ!」


引き止める先生の手を払い、蓮は教室を出ていった。



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