図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】

蓮は家に帰りカバンを放り投げた。

制服を脱ぎ捨て、ジーンズにカットソー、その上にダウンジャケット。

家の鍵を持ち、カツンと当たるものに気付いて、自分の指を眺めた。


細いシルバーリング。


蓮はそれを抜き取り、ゴミ箱に投げつけた。


それはフチに当たり、入ることなく床に転がる。

リングはくるくる回りながら、ベッドの下に入っていった。


どこまで転がったのか、

きっと、もう簡単には届かない。



しばらくして、蓮はジャケットのファスナーを上まであげ、家を出た。



ガチャリと、重苦しい鍵の閉まる音が部屋に響く。


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