図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「なんだよ!お前ら!」
蓮が二人を睨みつける。
「なにってなぁ?」
新が祐介に振る。
「ねぇ?ちょっと心配しただけなのにさ」
さわやかに祐介が言うそばで蓮は力なく椅子に座った。
「はぁ」
漏れるのはため息。
「何マジになってんの?」
新がからかうように蓮に顔を近づける。
「うっさい!」
ガラッと開けられるドア。
「ほら、席に着け」
先生の登場に生徒はハチの子を散らすように各自自分の席に着く。
「はぁ」
蓮はまたため息をついた。
外は秋晴れ。
雲ひとつない。
こんなときに授業なんて・・・・やってらんない。
外は眺めていると、後ろからつつかれ手紙が回ってきた。
可愛く小さく折られた手紙。
蓮はとりあえず開けてみる。
読まなくても内容は分かるけど、場所は読まないと分からない。
その文字はかわいらしい文字でころころしていた。
『次の休憩時間、
3階上の踊り場まで来てくださぃ。
2年1組 大場美香』
丁寧にハートまで添えられて。
蓮はその手紙をそのまま手のひらでつぶし、机の中に突っ込んだ。
「はぁ」
これで何度目のため息だろうか。
蓮はまたため息をついた。