図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「蓮と別れたの?」
新の一声はそれだった。
美優は一瞬、瞳を大きく開いて、そのまま視線を落とした。
「多分」
曖昧な美優の回答に反応したのは欄だった。
「多分って何よ!どっちなのよ!?」
多少キレ気味の欄に美優は不思議そうな目を向ける
。
「あなたが、つき合ってるんじゃないの?」
その台詞に三人は「はぁ?」と、ハモってしまった。
「えっ、だって、イブの夜…」
そこまで言うと、美優は俯いてしまった。
枯れたはずの涙がまた浮かんできて、美優は唇を噛みしめる。
「イブ…?あ、ん~嫌なこと思い出させるわね」
新と祐介の視線を集めながら欄は不快に顔を歪めた。
「なに?」
追求する祐介に、新と祐介の顔を交互に見て欄はさらに顔を歪めた。
「あーもう!、二股かけられて、泣いて帰るトコ、蓮に会ったのよ」
「それで?」
欄は追い打ちをかける新に渋い顔で答えた。
「蓮に家まで送ってもらったの」
「それだけ?」
訝しげに聞く祐介に、
「そうよ!誘っても乗らないんだもん!」
欄が口を膨らませて吐き捨てた。
「えっ?だって…」
美優は顔を上げ、両手で口を押さえた。