図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「美優ちゃんも知らないか」
祐介の声に新がまた、ため息を付いた。
「もう、10日以上学校に来てないよ」
新の台詞に美優は驚きを隠せなかった。
「10日…?」
美優はただ繰り返すだけ。
「結局、後は地下くらいだね」
その台詞に美優は祐介の腕を掴みのぞき込んだ。
「地下って?」
祐介がしまったとばかりに口を押さえる。
その代わりに口を開いたのは欄だった。
「はぁ、そんなことも知らないの?『under the ground』っていうクラ」
「欄、いいから」
新が欄の台詞を遮り、美優に向いた。
「知らないならいいよ。じゃ」
それだけ言うと新と祐介は階段を下り始めた。
「待ってよ!」
それに欄が続く。
「あっそうだ」
新が振り返った。
「誤解が解けたみたいだし、蓮が帰ってきたら会ってやってよ」
そう言うと3人はそのまま階段を下りていった。
美優は小さく呟く。
「アンダーザグランド」
そこに彼は、いる――。