図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】

漆黒の髪から見えるその琥珀色の瞳は男を睨んで続けて言った。


「それ、俺の連れなんだよ」

「篠原さん」


美優は安堵の声でその名前を呼んだ。


「はぁ?こいつから声かけて―!」


ヒロキはその男の腕をねじり上げ、いらだたしげに低い声で告げる。


「消えろよ、それともこの腕折らねーと、理解できねーか?」


痛みとその声に男は「ひっ」と悲鳴を上げ、「わかった、わかったから!」と、叫んだ。

その台詞に、ヒロキは手を離すと、男は這うように人混みの中に走って消えた。

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