図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
チャイムが鳴り響く。
蓮はその音を合図に立ち上がり約束の場所へ向かった。
「あれ?どこ行くの?3年棟かな?」
新がニヤニヤしながら聞いてくる。
「あっ、それなら俺も行こっかな」
ゆらりと立ち上がる祐介に蓮はムッとしながら睨んだ。
「違う。呼び出しってか、お前ら行くなよ?」
そう言って口を尖らせる蓮に新があきれるように肩を上下させる。
「相変わらず、もてるねぇ」
「いってらっしゃ~い」
祐介がひらひらと振る手ですら恨めしい。
いつもなら軽い足取りが今日は重い。
どんな子だっけ?
どうせなら可愛いといいな。
いつもならそんなことを思いながら歩く廊下。
けれど、今、頭に浮かぶのは、あの黒髪。
「はぁ」
今日はため息のオンパレード。