図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「悪いんだけど、席外して貰える?」
ヒロキの一言に、蓮のとなりの女は顔を真っ赤にして
飛び上がるように席を立った。
「ど、どうぞ!」
ヒロキは極上の笑顔を添えて「ありがとう。」と言うと、
蓮の隣に座る。
「なんか用?」
不機嫌さをそのままに口にする蓮にヒロキは呆れるように息を吐く。
「なにやってんの、お前?」
ため息混じりのヒロキの台詞に、蓮は笑った。
「あんただって同じ様なことやってたじゃん」
ヒロキはタバコをくわえ、ジッポに火をともした。
蓮はさっき貰ったタバコを加え、それに寄せる。
そして、煙を肺一杯に吸い、大きく吐いた。
「ひなは?」
「お前には関係ない」
ピシャリと言われ蓮は眉をひそめた。
そして、笑う。
「どんな女も一緒だって。ちょっと、やさしくしてやったら、簡単に脚開くぜ?」
その台詞にヒロキは「そうだな」と短く返しせば、
「だろ?」と、蓮は笑う。
ヒロキは静かに煙を吐いた。
「お前は俺と同じ人種だからな。だから教えてやるよ」
眼鏡をかけても隠すことの出来ない琥珀色の瞳が蓮を射抜く。
蓮は瞬間、息をのんだ。
「一度、特別を味わったら
忘れる事なんて出来ねーんだよ」