図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「あっ、蓮君!」
3階上の踊り場は荷物置き場になっていて、来る人は居ない。
いるのは手紙の主だけ。
「えっと・・・誰だっけ?」
蓮は手紙の名前をすっかり忘れていた。
「・・・・大場美香」
彼女は少し頬を膨らまして名前を告げた。
「あぁ、そーだった。ごめんごめん」
そういいながらにっこり笑って見せれば、彼女の顔が赤らんでいく。
女なんてこんなもの。
だから可愛い。
「で、美香ちゃん。俺に何の用?」
笑顔はそのままに顔を近づける。
「あ、・・・・あたしと・・・」
彼女は顔はまぁまぁ可愛い。
化粧もケバくないし、髪は茶髪だけど、ストレート。
好みといえば、好み・・・・かな?
「俺、他にも女いるけどいい?」
蓮は悪びれることなくそういって彼女の髪を撫でた。
彼女は一瞬ビクッと身体を動かし、それからゆっくり頷いた。
そして、彼女が見上げる。
その唇はテカテカしてない。
蓮は軽くキスをした。
彼女は目を閉じる。
蓮はもう一度髪を撫でて・・・・。
思い出すのはあの黒髪。
今度はもっと濃厚なキスを――。