図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「誰か居るの?」
その声に美優は振り返った。
「相原さん?どうしたの!」
司書の先生は驚いたように泣いている美優に話しかけた。
美優は慌てて涙を拭って、口を開く。
「なんでも、無いです」
そう言って、振り返る。
けれど窓の外にはもう誰もいない。
あれは幻だったのかと自分の目を疑ってしまうほど一瞬のことで――。
美優はまた目を擦った。
それでも、見えるものは変わらない。
直後、放送が流れ始めた。
『卒業生は体育館前に・・・・・・。』
「あら、相原さんも行かないと!」
そう言われ、美優は机に目をやった。