図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
式は厳かに進められる。
長い来賓スピーチにはうんざりしながら、椅子に座る卒業生。
校歌が流れ、クラスの代表が呼ばれ賞状が手渡される。
式も終わりに差し掛かると、館内のそこかしこにすする泣く声が聞こえ始める。
となりのみことも泣いていた。
美優はただ、終わることを願うだけで、もう涙は出なかった。
式が終わり、教室で賞状が手渡される。
卒業。
もうここには帰れない。
一人一人、教室を後にした。
「美優、みんなでお茶でも行かない?」
みことにそう言われて、美優は立ち上がった。
「忘れ物無いか、もう一度確認してね~」
先生の声に、美優は机の中を探った。