図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
そこは図書室。
艶やかな黒髪が彼女の顔を隠す。
蓮は、その横顔を眺めていた。
彼女が髪を耳に掛けた。
その肌は透き通るように白い。
日本人形
そんな形容詞がよく似合う女だった。
「ちょっと、蓮?」
その視界を欄が塞ぐ。
「ん?あぁ・・・・なんか、そんな気になんねーや」
蓮はそう言うと、欄を自分の上から押しのけ、乱れた服を直した。
「もう、蓮ったらぁ」
欄はその手を蓮の首に絡める。
「また、今度って、な?」
そう言って、笑う。
たいていの女はこれでいい。
欄は「じゃ、またね?」そう言って、顔を赤らめ蓮の前から走って消えた。
リーンゴーン-・・・
昼休憩終了のチャイムが鳴った。
蓮は見上げた。
その場所にはすでに彼女の姿はなかった。