図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「もしも、同じ感情を持てないのなら、そのまま帰ろうって思ってさ」
だから制服ではないのだと。
美優はやはり意味が分からず、困惑色を浮かべた。
「いいよ、わかんなくて」
俺はそのまま美優を抱きしめた。
美優が腕にしがみつく。
「じゃあ、なんでいなくなったの?」
また、泣いてしまうんじゃないかと思うくらいか細い声。
「センセー見えたから、俺、私服だし、まずいじゃん?」
その台詞に安堵したのか、美優の掴む力が抜けていくのを感じた。
「よかった」
美優の呟きに俺は「何が?」と返した。
「夢じゃなくて」
その台詞に俺は涙が出そうだった。
でも、そんなことは気取られたくなくて、俺は抱きしめる腕に力を入れた。