図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「蓮、く…くるし…ぃ」
美優のその声に、俺は力を緩めた。
そして、息継ぎをするように顔を上げた美優の唇に自分のそれを重ねた。
柔らかく、暖かい美優の唇。
まるで麻薬のように俺の脳を溶かす。
俺は本能のまま、舌を滑り込ませた。
静寂の空間に響く美優の吐息。
それは数千の本に吸い込まれていく。
美優の体から力が抜けていくのを抱きしめた腕で感じた。
-カツン…-
美優の右手からこぼれ落ちたのは、俺の気持ちを伝えてくれたシルバーのリング。
それはクルクルと円を描き、日溜まりに止まった。
美優の唇を解放し、それに手を伸ばす。
その手に、美優の手が重なり、俺は笑った。
美優も頬を赤らめながら微笑み返す。
俺はそれを拾い、美優の左の薬指にゆっくりと通した。
美優はしばらくその輝くものをじっと眺めていた。
そして彼女はゆっくりと俺を見上げ言った。
「ありがとう、探してくれて」
違う。
探してくれたのは美優。
だから俺はゆっくりと首を振って美優を見つめる。
「ありがとう、美優」
そして