図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】

リーンゴーン-・・・。


昼休憩を告げるチャイム。


「蓮、今日も昼寝?」


新がニヤニヤしながら聞いてくる。


「そうそう、だから、ついてくんなよ?」


二人にばれないようにいつものように振る舞う。

蓮は足早に図書室の裏庭に歩を進める。

途中売店でパンとコーヒー牛乳を買って、歩きながら食べる。

裏庭についたときには、それはすべて胃に収められていた。


そして、見上げる。

その窓にはまだいない。

だから蓮は安心して木陰に横になった。

葉のスキマから光りがこぼれ、時々それが目に入り目を細めた。


「センパイ」


細い通路から聞こえる声に顔を向けると、如何にもやらせてくれそうな格好の女。

化粧はばっちり。

ちょっと前までは、かなりぐっとくるタイプ。

――今では、煩わしくて仕方ない。


「何?」


それでも、条件反射的に笑顔を向ける。

その笑顔に正気でいれる女は少なく大抵、頬を赤らめた。


「ここにいるって聞いて・・・」


彼女はテカテカ光る唇で言葉を探す。


-キスはごめんだな-


そんなことを思いながら笑顔は崩さない。

近づいてくる女。

それを見ながら、目の端に写る黒髪に気付いた。



彼女から視線を外し見上げる。

長い漆黒の髪。

その髪がサラサラと肩から落ちる。

美優は左手でかき上げ、耳に掛ける。

白い肌が露わになって・・・・。


「センパイ?」


その声で、蓮は我に返った。

女はすぐそばに座りその手を蓮の頬にあてて―――。


「あっ、ちょっ・・・・」


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