図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
リーンゴーン-・・・。
昼休み終了を告げる鐘が鳴る。
「じゃあね?」
「あっ、ちょっと!」
感嘆に別れを告げる美優に蓮はつい声を荒げてしまった。
彼女が振り返り、人差し指を立てて口にあてる。
そんな仕草に、心臓は跳ね上がる。
きっと、顔も赤い。
近づいて、小さな声で美優に質問。
「あのさ、もしかして放課後もここにいんの?」
美優は笑って頷いた。
「・・・俺も来ていい?」
すんごい頑張って口にした台詞に美優はきょとんとした表情を見せた。
「いけない理由があるの?」
美優は首を傾げた。
蓮は自然と自分の顔が緩んでいくのを感じ、そのままとびっきりの笑顔を美優に向けた。
「じゃ、放課後な?」
美優は顔をしかめて、また人差し指をつきだした口の前で立てた。
蓮は声が大きくなったことに気付き、右手で口を覆った。
けれど、にやけた口は塞がらなくて・・・。
図書室を出るまで、蓮はその手を外さなかった。
そのドアを抜けて、蓮は手を外し、美優にもう一度約束する。
「放課後くるよな?」
美優はクスクス笑いながら「うん」と、頷いた。