図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「蓮くんは?」
「へっ?」
突然の質問に間抜けな答えを返す蓮。
「ここになにか用事あったんじゃないの?」
美優が首を傾げながら問いかける。
一緒に揺れる漆黒の髪。
「あ、・・・・いや、用ってか・・・」
-美優と一緒にいたいから-
頭に浮かぶその台詞。
けれど、口にすることが出来なくて、頭を激しく左右に振った。
「蓮くん?」
美優がびっくりして黒目がちな目を蓮に向ける。
蓮はその視線に耐えられなくなって、席を立った。
「本、探してくる」
その台詞だけ残して。
「うん」
美優が笑う。
その顔を見ていたいのに・・・・・。