図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
第2巻
元彼について
美優の歩幅にあわせてゆっくり歩く。
昼と夜の境目。
大通りの電燈が点き始めた。
小さな美優。
一つ年上なのに、そんなことも忘れてしまう。
-って!-
「あっ、美優、3年だよな?」
今更のように蓮は聞きなおした。
「?うん」
美優は不思議そうに蓮を見上げた。
「――俺、呼び捨てにして、る」
蓮は右手で口を覆った。
美優はそれを見て・・・・笑った。
「いいよ、今更『先輩』って呼ばれてもくすぐったいよ」
街灯に照らされ、黒髪が揺れる。
「あ、うん。ごめん」
なぜか、誤ってしまう蓮に「なんで、謝るの?」と美優は笑いながら蓮を見上げた。
「いや、だって・・・・」
連は返事に困り、頭をガシガシ掻いて奇妙に顔を歪めたそのとき――