図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「あーっ、美優ちゃん、みーっけ!」
蓮は聞き覚えのある声に振り返った。
「蓮君、出し抜けはよくないなぁ」
この声も知ってる。
新と祐介だった。
「なっ、お前ら何してっ」
そこで言葉を止めた。
何って、ナンパ以外にありえないから。
そんな蓮にはお構いナシに二人は美優を取り囲む。
「今、帰り?」
「どうせなら、どっかでお茶でもどう?」
祐介が美優の肩に手を置きながら言う。
美優はクスクス笑っていた。
「ちょっ、お前ら!勝手に美優にべたべたすんなよ!」
蓮は二人の襟首を掴み後ろに引っ張る。
「ぐえっって何すんだよ!」
「そうそう、美優ちゃん独り占めしといて」
「はぁ?俺は触んなっつってんだよ!」
三人のいい争いを美優は笑いながら見ていた。
終わらない争いに美優は告げる。
「先、行くよ?」
その声に、3人は動きを止め一斉に声の主を探す。
美優は2,3歩先を黒髪を揺らしながら歩いていた。
「美優」
突然の声は3人のモノではなかった。