図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「どこで降りんの?」
平静を装いながら、けれど、美優を見ることが出来ずに、視線は窓に向けたまま聞く。
「・・・・2つ目の駅」
美優も窓を向いたまま答えた。
窓が鏡のように反射して、美優の顔が映る。
蓮はそれを見ようと視線を落とすが、はっきりとは見えなかった。
1つ目の駅に着きドアが開く。
降りる人に逆らうように二人はその場所から動かなかった。
そして、乗ってくる人に美優は押されて、蓮にぶつかる。
「ご、ごめ・・・」
蓮の胸に顔を埋める美優。
理性なんて綺麗に吹っ飛んだ。
蓮はそのまま美優を抱きしめた。
手には冷たい髪が流れる。
「・・・蓮くん?」
腕の中で見上げる美優の顔が赤いのが分かった。
だから心臓はさらに鼓動を強めてしまう。
「・・・俺、すっげードキドキしてる」
美優の耳元で囁く。
「・・・うん、聞こえる」
列車が揺れる。
蓮は抱きしめる腕に力を込めた。