図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
初めての告白
「ここでいいから」
そう言う美優の言葉を振り切り、蓮はそのまま美優の隣を歩いた。
「本当にすぐそこなんだよ?」
美優が心配そうに蓮を見上げる。
「いいの!俺が心配なんだから」
「ここ」
本当に近くて、駅から3分だった。
「ほらね?」
美優が首を傾けて笑う。
「じゃあ、ありがとね?」
そう言って、家に入ろうとする美優の手を蓮が掴んだ。
「ん?」
美優が振り返り首を傾げる。
「あ、のさ・・・・」
蓮の心臓は爆発寸前。
「なあに?」
すこし間延びした声が耳をくすぐる。
「俺と・・・・」
蓮は両目をぎゅっと瞑った。
そして・・・・。
「つき合って!」
中学生でも、もっとまともな告白が出来る。
そんな自覚はあったけど、他に言葉が浮かばなかった。
というか、初めての告白。
勿論、蓮の方からと言う意味で。
蓮はゆっくりと目を開けた。
目の前にいるのはびっくりした顔の美優。
「・・・美優?」
蓮はおそるおそる声を掛けた。
「あっ、えっと・・・」
美優はビクッと体を動かし、言葉を探す。