図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
そんな彼女に連は確認するように口を開いた。


「俺たち付き合ってんだよね?」


今までと変わらない距離感に念を押す蓮。

美優は急に立ち止まって、蓮を見つめて、それから小さく俯いた。


「美優?」


今度は蓮がその顔を覗き込む。

さっきまで透き通るような彼女の頬は、一転して赤く染まっていた。

だから蓮はニヤリと笑う。


「俺の彼女でいいんだよね?」


美優は両手を頬に当ててコクンと頷いた。


「じゃあ、はい」


狂喜乱舞する心臓を押さえて、蓮は手を差し出した。

美優は少し顔を上げ、首を傾ける。


この仕草がたまらないって、おれはオヤジか?


自分に突っ込みを入れながら、蓮は極上の笑顔を向ける。


「手」

「手?」


美優が繰り返す。


「つなご」


美優がきょとんとした表情を蓮に向けたが、次第に驚きの表情に変わり、頬だけじゃなく顔全体が赤く染まっていった。


「ほら!」


蓮は急かすように、手をもう一度美優の前に差し出す。


「う、うん・・・・・」


美優は頬に置かれた左手をゆっくりと蓮のそれに近づけると、蓮は待ちきれずに透き通るような細いその手を掴んだ。

その手は柔らかくて、少し暖かい。


蓮は自分の頬にもその熱が伝わっていくのが分かって・・・・。

また顔を背けた。



なんで手握っただけで顔、赤くしてんだよ!俺っ!



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