図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
――キスしたことあんのかな?
わきあがる疑問。
あの元彼とは未遂で終わったみたいだし。
いや、でも高3。
ないほうがおかしいか。
俺なんて・・・・。
数えるのも不可能な話で、蓮は頭をガシガシと掻いた。
でも、じゃ、誰かがあの唇とキスしたのか?
どんな顔で?
胸の中に靄がかかる。
っつーか、やっちゃった可能性だってあるよな?
俺なら途中で止まれる自信ないモンな。
途端に不機嫌に歪むその顔。
どいつの下で乱れてんだよ?
ムカつく。
自分のことはすっかり棚に上げて。
いや、待て。
今朝、手をつないであの反応。
――ないかな?
今度は顔が疑問形に変わる。
あ・・・・俺だって変わんない反応か。
思い出して、恥ずかしそうに両手を机の上で組み、その中に顔を埋めた。
付き合ってんだよな?俺たち。
心の中で確認して。
だったら・・・・。
蓮は顔を上げて、美優を見た。
彼女は細い指でページをめくる。
「ねぇ、美優」
「ん?なぁに?」
彼女の視線は本から蓮に移された。