図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
「じゃあさ、俺のも探してよ」
美優を見下ろす蓮の顔に笑みはない。
「う、うん」
美優が一瞬返事を躊躇するほどの顔。
「どんなの?」
その質問には答えず、蓮は美優の腕をとって歩く。
図書室の奥。
持ち出し禁止の本ばかりが並ぶ、普段は誰も来ない一角。
蓮は美優をそ本棚の前に立たせた。
その棚に両手を置いて、美優に被さるように見下ろす。
蓮の影にすっぽり入った美優の視界は暗い。
「ここ?」
美優が蓮を見上げ確かめる。
「教えてよ」
蓮の低い声が響く。
「なに、を?」
美優の声は消え入りそうに蓮の影に吸いこまれる。
「キスの仕方」