図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】
そこには、あの日本人形がお行儀よく座っていた。

蓮は、手の動きを止めて、彼女を眺めた。

左手で漆黒の髪をすくい耳に掛ける。

白い頬が見える。

その動きに蓮は息をのんだ。


「センパイ?」


その声で我に返る。

彼女の目は潤み、蓮を見つめていた。


「あたし、篠宮センパイなら・・・」


そう言って、さらに顔を赤くして俯いた。


「あー、ごめん。もう萎えた。」


蓮は、彼女を膝の上から下ろして立ち上がった。


「あっ、センパイ、あたし、本当に・・・」


彼女はブラウスの前を両手で握りしめて、見上げた。

蓮はそれを見下ろして告げる。


「あんま、タイプじゃないかも。ごめんね?」


そう言って、笑顔を向けた。
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